후리가나로 읽는 일본 고전
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いちのくらさわなんりょう
新編 風雪のビヴァーク
松濤 明
松濤 明의 新編 風雪のビヴァーク(いちのくらさわなんりょう)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 25,081자 · 51화면
夜、囲炉裏を囲んで爺さんから昔話を聞く。以前は毎日何百人という人と、何十頭もの荷馬とが往来したというこの街道の華やかなりし昔を、爺さんは懐かしそうな口調でポツリポツリと語ってくれた。
三月二十四日 晴
明け放たれた中に支度をして、八時にゆっくり出発する。
堂屋敷は、来てみると意外にも空家ばかりで、ただ一人老いた鳥刺しが軒も傾いた陋屋にぽつねんと囮の餌をすっているだけであった。髪も髭もぼうぼうと伸びた、その大した風態に辟易して、ろくろく休まずに行く。このあたりからにわかに雪が現われ、道は氷にコンクリートされて、危いバランスで歩かねばならない。せせこましいジグザグをいくつか切って、十時、小川路峠に立った。今まで遮ぎられていた新しい視野が展開する。目の下の遠山の里は、狐色に冬枯れた茅戸の山を背にして、明るい空気がみなぎっている。その茅戸の山の肩に、白い上河内の稜線が覗いている。それは、遠い遠い空のかなた、そこまで行く事すら心細い空のかなたであった。あれを越えて行く、そう考えるだけでも空恐ろしくなる。あの山懐の真っ只中で行き倒れてしまうのではなかろうか。眺めれば眺めるほど、気分は重苦しい不安に閉ざされて、今までだれていた総身がにわかに引き締まるのを覚えた。