후리가나로 읽는 일본 고전
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しんさいゆうき
新西遊記
久生 十蘭
久生 十蘭의 新西遊記(しんさいゆうき)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 26,654자 · 52화면
この一世紀のあいだ、世界の一流の探検家でさえ一人も成功したものがないというのに、この青僧は事もなげに「西蔵のラッサへ入って」などというのだ。大きな子供ぐらいにしか見えない貧相な沙弥の顔を見ながら、案外、世俗的なところもあったチャンドラが、なにを考えていたか想像に難くない。
狂信的なラマ教徒の独尊自大はともかく、日清戦争以来、清国人にとって日本人は不快な人種になり、西蔵の清国官吏の間に興清滅洋の思想がたかまっている。そんなところへ入って行ったら、どんな目に逢うか知っているのだろうか。ラッサへ入って、カンジュールを手に入れたいのだそうだが、甘珠爾(勅命訳一切経)は「経」ではなくて「仏」なのだ。北京版の甘珠爾は甘粛省敦煌の雷音寺(千仏洞)の経窟におさめられているが、毎年、五月初めの灌仏会大法要には、一切経を拝むために、青海のツァイダン王や、甘粛新彊の端郡王までが、はるばる敦煌まで出かけて行くくらいのものである。
チャンドラにすれば、この男は正気なのかと疑いたくなったろう。あまり突拍子もない話なので相手になる気もなくなった。しかしだんだん聞いてみると、狂気どころか大真面目で、放っておくと、このままラッサへ行ってしまいそうな意気込みだから、チャンドラは本気になって説得にかかった。