후리가나로 읽는 일본 고전
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りょしゅう
旅愁
横光 利一
横光 利一의 旅愁(りょしゅう)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 576,941자 · 1138화면
史跡保存で改築を許されぬ一角であるだけに、パリの冠った古帽子のこの中には何ものが棲んでいるのか分り難い。夜毎に軽機関銃で撃ち合いを始めるというのもこのあたりであろうと、久慈は光りの洩れる窓の見える度びにそっと中を覗いてみた。
戸口にカフェーとだけ書いてある小さな一軒のドアの、眼の届くあたりに一つ小窓があった。久慈はそこからふと覗くと、中はパリでほとんど見られぬ女給ばかりのカフェーだった。
「ここには女給がいるよ。稀らしいね。一寸這入ろう。咽喉が渇いた。」
久慈は相談もなく一人肩でドアを押し開けて這入っていった。矢代と東野も身を横にするような狭い入口から後につづくと、ぎしぎし鳴る椅子に凭れた。薄暗い狭い部屋の空気は濁った汗の匂いで鼻を打った。
「これや汚いね。出ようや。」
矢代がそう云って立ちかけようとしたとき、花売娘のような様子の十人ばかりの女給の中、若い三人がいきなり矢代にしなだれかかって来た。
「あら、もう帰るの。いいわよ。煙草一本頂戴な。」
身体を不必要なほどに捻じ曲げ、腰を動かしながら擦りよって来て出す手首の骨が高く大きい。ひどい脇臭のうえに、鼻の両側のまだらな白粉の下から脂肪がぶつぶつ浮き上っていた。