후리가나로 읽는 일본 고전
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りょしゅう
旅愁
横光 利一
横光 利一의 旅愁(りょしゅう)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 576,941자 · 1138화면
「これで一日に二千万円近くの金が、外国銀行へ電話一本で逃げ出し始めたそうだからね。儲ける国は棚からぼた餅でほくほくものだろう。為替管理がどうのこうのと云ったところで、何んともならぬらしい。」
経済に明るい久慈の云うことであるから矢代もあまり疑問を挟まなかったが、一日に二千万円近くの金の流出なら戦争以上の経済の惨苦だと思った。日本とは違い、さア事だとなってこんなに容易く自分の国の金銭を外国銀行へ移せるものなら、国内の赤化の勢いは一層銀行をより固めしめ、ついには逆に銀行から民衆を焼く火を噴き出す結果になる懼れさえ感じられた。矢代は外国へ来て以来金銭の運行には前よりはるかに敏感になったが、まだこちらの街頭で煙草を売っている無知な老婆より、はるかに日日の金の差額には鈍感な自分を識った。それも自分ばかりではない。日本内地の多くの人間はその点ほとんど自分よりも無関心だった。殊に東洋のことをふと思うにつけ、通貨の支配力を握っているイギリスの金力が、地球の表面にどのような姿で投資され、その余力をかってどんなにわれわれが動かされているかということさえも、むしろ知らぬことを高貴な態度と思い信じているがごとき知識人の多い原因には、一つは金銭には我関せずと思う伝統の所作もあるにちがいないと矢代は思った。