후리가나로 읽는 일본 고전
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りょしゅう
旅愁
横光 利一
横光 利一의 旅愁(りょしゅう)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 576,941자 · 1138화면
「われ山民の心を失わず。」
このように山を見て云った芭蕉の言葉も、矢代は思い出しつつ山にも登った。山懐ろの秋の静かな日溜りの底で、膨れ始めた嬌奢な栗の毬がまだ青く見降ろされた。遠く向うの海岸のトンネルの中から、貨物列車のぞろぞろ出て来る姿を見ると、彼は田舎芝居を見ているような、道化た煙草好きの男を何んとなく思い出した。そして、あれが日本に顕われ出て来た初めての西洋の姿かと思い、膝に肱つき、下を見降ろしながら、彼は見て来た西洋を想い浮べては感慨に耽けるのだった。
煙を噴き出す貨物列車は蛇に見え、稲の穂の実っている田の中を通り脱けてまた煙を苦しげに、ぽッぽッと吐いて眼界から消えて行く。
このような素朴な景色を遠望しているとき、矢代は、自然にまた自分の父の若い時代を思い出した。彼の父は青年時代に福沢諭吉の教えを受け、欧州主義を通して来た人物だった。ただひたすらに欧米に負けたくない諭吉の訓育のままに、西洋も知らず、山間にトンネルを穿つことに従事し、山岳を貫くトンネルから文化が生じて来るものだと確信した、若若しい父の青年時代を思うと、矢代は父とは違う自分の今の思いも考えざるを得なかった。