후리가나로 읽는 일본 고전
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りょしゅう
旅愁
横光 利一
横光 利一의 旅愁(りょしゅう)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 576,941자 · 1138화면
陽の光りの射し込まぬ暗い堂内に鳴りこもったその合唱の力は、段段と響きとどろく強烈な楽器のようだった。その轟きは入口にふと立った矢代の胸に異様な圧力を加え、弾き返されるようにすぐまた彼は外へ出て来たが、そのとき眼に映った一瞬の聖衣の揃った見事さは、近代の混らぬ西洋の真の美しさを初めて見たと思わせた。矢代は千鶴子もあのときのフィエゾレの内部に連なるものの一人かと思うと、今もピエールのことなどで撃ち返す気もせず、むしろ、あの中世紀そのままの壮厳な古古しい金色の合唱が、人界を離れた別世界に見え、排他的な人を寛さぬその厳しさに、手の届かぬ怨めしげな気持ちさえ覚えて来るのだった。
「年をへし糸の紊れの苦しさにという、安倍貞任の歌があるが、あなたも、さアどうかしらなど云うところを見ると、貞任みたいになかなか歌が上手いなア。八幡太郎は矢で狙っても、歌が上手いといのちを救うんだからね。僕らは日本式に太郎でいこう。」
と矢代はこう云って、千鶴子に弓弦をひき絞っているような様子の塩野を顧みて笑った。
「その方がピエール氏を喜ばすか。」と塩野も笑ってしまった。
椅子の背にもたれたこんな寛いだ気分も、寝ていた人が起きて来たらしい廊下をわたる足音で緊った。