후리가나로 읽는 일본 고전
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うえの
日和下駄 一名 東京散策記
永井 荷風
永井 荷風의 日和下駄 一名 東京散策記(うえの)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 33,955자 · 70화면
これに対して失意の憾みの生ずべき筈はない。コールタを流したような真黒な溝の水に沿い、外囲いの間の小径に進入ると、さすがに若葉の下陰青々として苔の色も鮮かに、漂いくる野薔薇の花の香に虻のむらがり鳴く声が耳立って聞える。小径の片側には園内の地を借りて二階建の俗悪な料理屋がある。その生垣につづいて、傾きかかった門の廡には其文字も半不明となった南畝の額が旧に依って来り訪う者の歩みを引き留める。門をはいると左手に瓦葺の一棟があって其縁先に陶器絵葉書のたぐいが並べてある。家の前方平坦なる園の中央は、枯れた梅樹の伐除かれた後朽廃した四阿の残っている外には何物もない。中井碩翁が邸址から移し来ったという石の井筒も打棄てられたまま、其来歴を示した札の文字も雨に汚れて読難くなっている。それより池のほとりに至るまで広袤およそ三四百坪もあろうかと思われる花圃は僅に草花の苗の二三尺伸びたばかり。花圃の北方、地盤の稍小高くなった処に御成座敷と称える一棟がある。百日紅の大木の蟠った其縁先に腰をかけると、ここからは池と庭との全景が程好く一目に見渡されるようになっている。苗のまだ舒びない花畑は、その間の小径も明かに、端から端まで目を遮るものがないので、もう暮近いにも係らず明い心持がする。