후리가나로 읽는 일본 고전
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めいじかいか あんごとりもの
明治開化 安吾捕物
坂口 安吾의 明治開化 安吾捕物(めいじかいか あんごとりもの)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 26,208자 · 52화면
父は何の感動もない顔をして母の枕元に坐っていた。そして、母の死後、父がオイナリ様を拝んだことはついぞなかった。由利子も母の思い出が遠のくにしたがって、日参を忘れがちになっていた。
このオイナリ様は狼イナリと云うのだそうだ。こう教えてくれたのは番頭の川根八十次であった。しかし、これを由利子に教えたために、川根は母にひどく怒られた。狼イナリという本名はこの家のタブーであった。
「狼イナリって、本家はどこにあるの? 埼玉?」
由利子は兄にきいてみた。
「大方、そうだろう」
兄は興味がなさそうだった。彼は狼イナリの存在を気にかけていなかった。彼も父と同じように、何かのタタリなぞは怖くもないし、とるにも足らぬ、という気質なのだ。生れつきの実利主義者であった。彼は羽ぶりのよい官員や大臣や大将なぞは子供の時から眼中におかなかった。地上の総てを動かしうるものは金である。金だけが万能だ。それが彼の考えだった。学問すらも不要なのだ。
彼は十七の年に自発的に学業をやめた。そして、京大阪へ呉服商の見習いにでた。二年間で商法を会得し、父の店で働きはじめた。
父の店はそれまで秩父と両毛の織物を扱っていたが、兄は京都に主点をおいた。