후리가나로 읽는 일본 고전
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めいじかいか あんごとりもの
明治開化 安吾捕物
坂口 安吾의 明治開化 安吾捕物(めいじかいか あんごとりもの)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 23,522자 · 46화면
左近はそう考えめぐらすだけで、なんとなく楽しい毎日をすごした。
彼は勿論本当に八千円の金を貸してやろうなぞと考えていたわけではなかったが、ちょうどそこへ勘当して以来二十五年も音沙汰のなかった志道軒ムラクモが女房子供をつれて親不孝のお詫びにと訪ねて来た。女房は芸者あがりの恋女房、春江といって三十。久吉という十になる一人息子をつれて高価な手みやげを持って訪ねて来た。自分は幇間をやり、女房にはチョッとした一パイ飲み屋をやらせて生活には困っていない。たゞなつかしさに一目だけでも拝顔して重なる不孝のお詫びをしたいと矢も楯もたまらずという、そこは多年の幇間できたえた弁舌、情味真実あふれて左近の耳にも悪くはひゞかない。
「ペラペラとよく喋るな。その舌でお金をかせぐのか。薄気味のわるい奴だ。お茶坊主のように頭をまるめているが、腹は黒いな」
「恐れ入ります」
「金が欲しかろう」
「慾を云えばキリがありませんが、毎日の暮しには事欠いておりません」
「慾を云えばいくら欲しい」
ムラクモは父の薄笑いを満身にあびてゾッとした。その薄笑いは悪い病気をやんでいるようだ。笑いが病気をやむというのはおかしいが、水野左近が笑っているのではなくて、一ツの薄笑いが彼の顔にのりうつっているように見える。