후리가나로 읽는 일본 고전
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はるふかく
春深く
久保田 万太郎
久保田 万太郎의 春深く(はるふかく)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 3,257자 · 7화면
汽車の中でよむ二、三冊の本と、原稿用紙と、万年筆と、外に一つ二つの手廻りのものと、荷物といってはそれだけだった。籠一つでことは足りた。――それを下げて四月の末の曇った午後、わたしはぼんやり一人で上野を立った。高崎で乗りかえて、五時ごろ、磯部へ着いた。
そこで下りたのはわたしだけだった。――切符をわたして思った以上に小さい、人けのないガランとした停車場の構内を出ると、繁り切った桜の嫩葉の、雨を含んだ陰鬱な匂がしずかにわたしに迫った。――あたりはもう灯火のほしいほどに暮れかけていた。
「鳳来館まで。」
二、三人、わたしをみてそばへ寄って来た車夫の一人にわたしはいった。
鳳来館がどういううちだかということをわたしは全く知らなかった。――ただ、磯部で、最も古く最も大きい宿屋だということを汽車の中で聞いただけだった。――それも直接に聞いたのではなく、大宮から乗って来た二人づれの老人の、そのあたりのことを互にいろいろ話合うのを、ゆくりなく、側で、聞いただけだった。
だから、みるまで、蓬莱館と書くのだとばかりわたしは思っていた。――鳳来館だとは夢さら思わなかった。