후리가나로 읽는 일본 고전
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あんこくせい
暗黒星
江戸川 乱歩
江戸川 乱歩의 暗黒星(あんこくせい)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 94,000자 · 188화면
「おやっ、あいつ、気でも違ったのじゃないか」
伊志田氏は吹き出したくなった。どういうわけか腹の底から、おかしさがこみ上げてきた。
書生はインバネスのようなものを羽織って、黒い布で頭を包んでいた。そして、その布の中から眼だけを出して、じっとこっちを見つめながら近づいてきた。
伊志田氏の顔から笑いの影が消えて行った。そして、なんとも言いようのない恐怖の色が浮かんだ。
覆面の人物は鼻の頭がガラスに着くほど、窓のそとに接近していた。黒布をくり抜いた二つの穴から、誰かの眼が、瞬きもせず伊志田氏を睨みつけていた。
さきほど電話をかけたやつが姿を現わしたのだ。では、このガラス窓にくっついているまっ黒な怪物が、あの「綾子」なのであろうか。伊志田氏がとっさにそれを考えたことはいうまでもない。
父は浴槽に首だけを出し、娘は覆面に顔を包んでガラスのそとから父を覗いている。この気違いめいた、怪談めいた事実が、伊志田氏を極度に惑乱させた。
恐ろしいけれど、叫んでいいのかどうかわからない。書生が来て怪物を捕えてくれることが望ましいようにも思われ、絶対にそんなことがあってはならないようにも思われた。