후리가나로 읽는 일본 고전
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ふくそうについて
服装に就いて
太宰 治의 服装に就いて(ふくそうについて)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 12,180자 · 25화면
五円を懐中して下駄を買いに出掛けても、下駄屋の前を徒らに右往左往して思いが千々に乱れ、ついに意を決して下駄屋の隣りのビヤホオルに飛び込み、五円を全部費消してしまうのである。衣服や下駄は、自分のお金で買うものでないと思い込んでいるらしいのである。また現に、私は、三、四年まえまでは、季節季節に、故郷の母から衣服その他を送ってもらっていたのである。母は私と、もう十年も逢わずにいるので、私がもうこんなに分別くさい鬚男になっているのに気が附かない様子で、送って来る着物の柄模様は、実に派手である。その大きい絣の単衣を着ていると、私は角力の取的のようである。或いはまた、桃の花を一ぱいに染めてある寝巻の浴衣を着ていると、私は、ご難の楽屋で震えている新派の爺さん役者のようである。なっていないのである。けれども私は、与えられるものを黙って着ている主義であるから、内心少からず閉口していても、それを着て鬱然と部屋のまん中にあぐらをかいて煙草をふかしているのであるが、時たま友人が訪れて来てこの私の姿を目撃し、笑いを噛み殺そうとしても出来ない様子である。私は鬱々として楽しまず、ついに立ってその着物を或る種の倉庫にあずけに行くのである。