후리가나로 읽는 일본 고전
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きをあいするこころ
樹を愛する心
豊島 与志雄
豊島 与志雄의 樹を愛する心(きをあいするこころ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 2,805자 · 6화면
二方は高い崖で、古木が欝蒼と茂り、その根本から水が湧いて、常に清冽な水が池に湛えていた。池は自然のままに放置されて泥深く、周囲には笹や蔓が生いはびこっていた。時折子供たちが、竹垣の間をくぐってはいりこみ、蜻蛉をからかい、蝌蚪をいじめて、遊んでることもあった。然し、日の光が薄らぐと共に、また静寂幽玄な気にとざされるのだった。妖怪談さえ云い伝えられた池である。
その池が、数年前、埋められて、今は、人家が立並んでいる。池の縁をなしていた崖も、或はコンクリートで築かれ、或は木を切られてしまった。昔の池の名残を留めてるものは、殆んどない。ただ僅かに、昔のことを知ってる者に一脈の懐古の情を起させるのは、太田邸の一端をなしてる昔ながらの崖の一部と、それから、私の家の東側の崖……。
この崖、幅十間にすぎないが、椎や椋や榎や楓や、其の他の雑木が、それも径一二尺の大木が、立並んでいて、その根で土壌を支え、落葉を積らして、何等人工を施さない昔のままのものである。私はそれ等の雑木、その朽葉、その崖を、愛する。そして、崖下に降りてみると、痛ましく心を打たれる。崖の土は、長年の風雨に流されたらしく、樹木の根が半分露出して、それが絡まりもつれながら、崖の中に喰い入っている。