일본어 읽기 연습

후리가나로 읽는 일본 고전

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いんじゅうトリステサ

橘外男ワンダーランド 人獣妖婚譚篇

橘 外男

橘 外男의 橘外男ワンダーランド 人獣妖婚譚篇(いんじゅうトリステサ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.

N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 154,788자 · 299화면

아오조라 문고

妻の用件というのは、食事が済んだら自分と一緒にこれからプラツア・デ・カタルニア街へ車を走らせて、そこにあるフリオ・ベナビデスという犬商の店で、犬を一匹買ってもらいたいという頼みなのであった。あれほど昂奮し切って、我を忘れて電話を掛けてきた用件というのが、そんな簡単な他愛もない用件かと誰でも思うかも知れないが、交際社会においては常に優勝の地歩に、自分を占めていなければ承知のできぬ妻にとっては、そこになかなか然かく簡単ならぬ競争意識と、希望と不安とが醸し出されていたのであった。

というのは、上流貴婦人たちの血を沸き立たせていたものに、毎春一回国都マドリイドにおいて開かれる全西班牙名家の愛犬品評会というのがあった。特賞には、二十五万ペセタの賞金が賭けられてあり、英国、仏国等のそれぞれの犬種協会よりも副賞が提供せられてあって話題を賑わせ、ある意味においては、富んで閑のある名家階級の貴婦人にとって、アンダルシア高原地方の牧場主たちが自己の丹誠凝らした猛牛を闘牛場へ送るよりも、より以上の熱狂を唆り立たせる有名なシーズン行事の一つになっていた。

もちろん品評会で審議を受けるほどの名犬を手に入れて飼育するためには、二十五万や三十万ペセタくらいの金では追っ付かなかったから、その賞金なぞは何らの目的でもなかったが、この品評