후리가나로 읽는 일본 고전
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いんじゅうトリステサ
橘外男ワンダーランド 人獣妖婚譚篇
橘 外男
橘 外男의 橘外男ワンダーランド 人獣妖婚譚篇(いんじゅうトリステサ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 154,788자 · 299화면
ただ今でも、私の記憶に残っているのは、犬は売ってくれたがその代り何ともいえぬ陰惨な印象を私の頭に刻み込んだ犬商フリオ・ベナビデスという人間の顔と姿とだけであった。
ベナビデスの店はプラツア・デ・カタルニア街というのにあったが、この町がまた貧民窟も貧民窟、物凄く陋くるしい町であった。犬を買う買わぬももちろん大切ではあったが、私としてはむしろそういう用にかこつけて、こうやって妻と二人で車を走らせているという方に、より大きな喜びを感じていたのであったが、その私のひそかなる喜びも、車が段々と走って行くに従って、一刻増しに興趣を失っていったのであった。
狭苦しい通りを挟んで、両側の建物の出窓という出窓からは往来の上じゅう細引を張りめぐらして、襁褸同然の襤褸着物が一杯に懸け連ねてあるし、私のところへ来るまでにも長いお邸勤めの生活で、市中の地理は隈なく知っているはずの運転手でさえ、二度も三度も把手を止めて、汗みずくで探し廻らなくては、目指すプラツア・デ・カタルニア街というのはなかなか見当らなかった。
「何もこんな所まで、自分でわざわざ出掛けて来なくたって、犬が欲しいなら欲しいで、給仕頭にでも言い付けて買いに寄越したらよさそうなものを! 女の競争心というものはこんなにも凄まじいものなのか!」