후리가나로 읽는 일본 고전
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いんじゅうトリステサ
橘外男ワンダーランド 人獣妖婚譚篇
橘 外男
橘 外男의 橘外男ワンダーランド 人獣妖婚譚篇(いんじゅうトリステサ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 154,788자 · 299화면
二十七年前のフロール・エスビイナの時のあの気持であった。大学を出て、書物を読んで年を取って銀行の頭取になって、歳移り星は変っていたが、しかも気持は一足飛びに少年の昔に遡って、二十七年前に跛者と一緒に演壇に立つのは厭だと言われて泣いて学校から帰って来たあの時の気持と寸分の違いもなかった。しかもあの時は、泣いて帰って一晩泣いていたら涙は拭われたが、今は一晩泣いても十晩泣いても涙も拭われぬ限り、別段初めから拭う涙も出てこない。少年の昔フロール・エスビイナを信じていた純情がすっかり傷つけられて、今は誰を信じもしなければ、また誰からも好かれているとも考えてはいないからであった。そして少年の昔フロール・エスビイナを少しも憎んではいなかったように、今の私も別段妻のドローレスを少しも憎んではいない。ただ私の残念なのは、あくまでも愚かしい自分の気持ばかりであった。二匹の悲哀が飼われているとも知らず、妻と一緒になって犬のぶざまな歩みに手を拍き指ざして可笑しがり、しかも自分の悲哀には気が付かないで、犬の悲哀ばかりを笑っていた自分の迂愚さ加減が、ただ悔まれてならなかったのであった。