후리가나로 읽는 일본 고전
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はるはばしゃにのって
機械・春は馬車に乗って
横光 利一
横光 利一의 機械・春は馬車に乗って(はるはばしゃにのって)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 77,492자 · 156화면
まことに受身こそ積極性を持つ平和な戦闘にちがいない。
梶はツァラアに紹介されてから集った紳士淑女たちの円形に並んだ椅子の中に身を沈めた。会話はすべて巴里に進行している大罷業(だいひぎょう)の話ばかりだ。そのとき、左の方の円筒形をしている高い隣家のテラスから下の一団に向って犬がけたたましく吠(ほ)え立てた。ツァラアを囲んだ芸術家たちも、初めの間は思想上の会話をつづけていたが、だんだん高まる犬の声にも早や会話が聞きとり難くなって来た。犬を追い立てようにも間には断層のように落ち込んだ他家の庭がひかえている。一同はしばらく小さな声で口を鳴らせていた。しかし、相手は犬である。狂気のように吠え立て始めては利(き)くものではない。一同は苦笑をもらしてただ円塔の上を見上げているだけだ。
梶はこのときスイスに於けるツァラア一派の発会式の情景をふと思い浮べると、微笑が唇(くちびる)にのぼって来るのを感じた。犬を鎮(しず)めるには犬より大きな声を出さねば逃げるものではない。この紳士淑女たちの間で、誰があの犬より大声をはり上げるであろうか。梶は興味をもって犬を見上げながら、現実をお茶にしたツァラアのかつての行動はこの犬に似ていると思った。