후리가나로 읽는 일본 고전
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
下村 湖人의 次郎物語(じろうものがたり)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 146,773자 · 294화면
彼は思わずかっとなった。同時に、鼻の奥がすっぱくなって、そこから、熱いものが眼の底にしみて来るような気がした。しかし、彼は唇をゆがめてじっとそれをおさえた。そして、しずかにその帽子を拾い、ていねいに形を直し、塵をはらってそれをかぶると、そのままさっさと渡り廊下の方に向かって歩き出した。
「こらっ! どこへ行くんだ!」
五年生の一人が叫んだ。それは三つボタンらしかった。次郎は、しかし、ふり向きもしなかった。
「あいつ、いよいよ生意気だ!」
「このまま放っとくと、上級生の権威にかかわるぞ!」
「つかまえろ!」
五年生全体がざわめき立っているのをうしろに感じながら、次郎はもう渡り廊下を二三間ほども歩いていた。
彼は、そこで、ちょっとうしろをふりかえってみた。すると雨天体操場の中から無数の視線がまだ自分を覗いており、その視線の一部を遮って、二人の五年生が入口の近くに向きあって立っているのが見えた。その一人は三つボタンであり、もう一人は最初に演説した生徒だった。
次郎は、三つボタンが自分を追っかけるのを、演説した生徒がとめているんだな、と思いながら、足を早めた。