후리가나로 읽는 일본 고전
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
下村 湖人의 次郎物語(じろうものがたり)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 159,223자 · 320화면
正木の家では、彼はほとんどあらゆる場合に自由であった。そこでは次郎の神経を刺戟するような、冷たい、とげとげした言葉など、全く聞かれなかった。むろん、祖父や祖母が、次郎に全然叱言を言わないわけではなかった。しかし、その叱言は、少しも彼の苦にならない叱言だった。それに、だい一、この家の生活には、いろいろの変化があった。櫨の実を俵に入れて沢山積んである大きな土蔵の中で、かくれんぼをしていると、山奥で洞穴の探検でもやっているような気分が味わえた。また、広い土間に払げられた櫨の実を、から竿で打ち落したり、蒸炉の焚口に櫨滓を放りこんだり、蝋油の固まったのを鉢からおこしたり、干場一面の真っ白な蝋粉に杉葉で打水をしたりする男衆や女衆にまじって、覚束ない手伝いをするのも、誇らしい喜びだった。ことに「灰汁入れ」作業の手伝いは、次郎が学校を休んでもやりたいと思う仕事の一つだった。
この作業の日には、附近の農家から、手のあいた女たちが凡そ二十人近くも手伝いに来た。その中には、婆さんも居れば、若い娘も居た。それらの人たちに、家内の婢たちや、子供たちも交えて、三十数名のものが、土間に蓆をしいてずらりと二列に並ぶ。