후리가나로 읽는 일본 고전
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
下村 湖人의 次郎物語(じろうものがたり)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 159,223자 · 320화면
しかし、誰の心にも、次郎がこの家にいるのも、もうあと一年だ、という考えがあった。そして、謙蔵は舅や姑に対する義理合から、お延は姉のお民に対する思わくから、老夫婦は、次郎本人に対する愛と俊亮に対する面目から、それぞれあと一年を我慢することにした。もっとも、老夫婦はただ我慢するというだけでなく、これからの一年間にいくらかでも次郎の性質を、矯め直して、謙蔵にもよく思われ、俊亮夫婦にも喜んで貰いたいという気持で一ぱいであった。
次郎は、そうした間にあって、いよいよませて来た。
そして、世間というものがいくらかずつわかり出すと、もう自分の家と親類の家とをはっきり区別して、自分が現在どんな位置に居るかを考えずにはいられなくなって来た。
(自分はこの家で生まれた人間ではない。誠吉なら威張ってこの家の飯を食って居れるが、自分はそういうわけにはいかないのだ。)
こんなことに気がつき出した彼は、変に何事にも用心深くなった。そしてこれまで謙蔵に対してだけ感じていた窮屈さを、この家のすべての人に対して感じるようになり、祖父や祖母に対してすら何かと気兼をするようになった。