후리가나로 읽는 일본 고전
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みずとりてい
水鳥亭
坂口 安吾의 水鳥亭(みずとりてい)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 30,705자 · 62화면
よその別荘は売れなかったが、彼は売りつける自信があった。
いったい亮作は肌身放さぬ包みの中に、いくら持っているのだろうと野口は真剣に考えこんだ。
「梅村さん。私たちは軽井沢へひきあげようと思いますが、どうです、この別荘を買いませんか。土地ぐるみ、温泉ぐるみ、ただの一万。まるで捨てるようですが、あなたになら、一万でゆずりましょう」
亮作はモッコかつぎに出ていたから、町の様子は手にとるように知っていた。
持てる連中は大騒ぎだ。別荘や運びきれない物品が捨て値で売りに出ている。それでも買い手がない。町の人々は敵の上陸を信じこんでいるからだ。亮作がそれを信じないわけはなかった。しかし彼は持たないから、落付いており、あらゆる人々に穴居の運命が近づくのを見ているだけのことであった。
亮作は自分の家が欲しいと思っていた。焼けだされた当時は、住むべき家のないことが何よりの悲しさであったが、今はそれほどでもない。なぜなら、何百千万の同類ができたからである。しかし欲しくないことはない。
もしも捨て値の別荘を手に入れて運よく戦禍をまぬがれたらと亮作は思った。今の彼の運命は逆転してしもうのである。