후리가나로 읽는 일본 고전
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えいじつしょうひん
永日小品
夏目 漱石의 永日小品(えいじつしょうひん)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 50,000자 · 100화면
その馬車の色が赤であったり黄であったり、青や茶や紺であったり、仕切りなしに自分の横を追い越して向うへ行く。遠くの方を透かして見ると、どこまで五色が続いているのか分らない。ふり返れば、五色の雲のように動いて来る。どこからどこへ人を載せて行くものかしらんと立ち止まって考えていると、後から背の高い人が追い被さるように、肩のあたりを押した。避けようとする右にも背の高い人がいた。左りにもいた。肩を押した後の人は、そのまた後の人から肩を押されている。そうしてみんな黙っている。そうして自然のうちに前へ動いて行く。
自分はこの時始めて、人の海に溺れた事を自覚した。この海はどこまで広がっているか分らない。しかし広い割には極めて静かな海である。ただ出る事ができない。右を向いても痞えている。左を見ても塞がっている。後をふり返ってもいっぱいである。それで静かに前の方へ動いて行く。ただ一筋の運命よりほかに、自分を支配するものがないかのごとく、幾万の黒い頭が申し合せたように歩調を揃えて一歩ずつ前へ進んで行く。
自分は歩きながら、今出て来た家の事を想い浮べた。一様の四階建の、一様の色の、不思議な町は、何でも遠くにあるらしい。