후리가나로 읽는 일본 고전
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なんじじしんをしれ
汝自身を知れ
辰野 隆
辰野 隆의 汝自身を知れ(なんじじしんをしれ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 1,595자 · 4화면
帰朝してから暫く、僕はハムレットを愛用してゐたが、或日、弟が、呉れとは云わぬが当分借りて置く、と云って持って行った。その後、弟がかねて親しくしてゐた知名の力士が、頗るハムレットに惚れこんで、弟に、頂戴するとは申さぬが当分拝借仕ると云って、持って行ったそうである。
昨秋弟が死んだ後、僕は久しぶりでハムレットの行衛を、亡弟の妻に訊ねて見た。彼女も亦久しぶりでそれを思い出して、あれは元々拝借して更らに貸したのだから、近いうちにお届けすると云った。別に貴重な品でもないので、僕はわざわざ取戻すのはやめて呉れと頼んだ。然るに、旬日の後十数年ぶりのハムレットは、旧の如く、死の嗤笑を口辺に浮べながら、僕の書斎の机の上に、ちょこなんと乗っていた。手に把って耳に当てると、懐しい髑髏は相変らず、NOSCE・TE・IPSUM NOSCE・TE・IPSUMと囁いてゐる。
『時計』と題するボードレールの詩の中にも、「刻々の現在を示す秒針は、我は既に過去なりと囁く」とか「昼は減じゆき夜は増しゆく、心せよ」というような言葉があった。僕のハムレット時計は、惟ふに、ボードレール時計でもあろう。