후리가나로 읽는 일본 고전
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えどのかじゅつ
江戸の火術
野村 胡堂
野村 胡堂의 江戸の火術(えどのかじゅつ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 17,929자 · 36화면
井上半十郎は漸く救われた心持になりました。心も身体も綿の如く疲れ果てているのに、気が付いて見ると、昼頃から一食も摂らずに、繁代の幻に引かれて、さ迷い歩いていたのです。
藪を潜り、木立を分け、岩角を踏み砕き、其処から灯までは、ほんの十町ばかり、半十郎は半分は這うようにして進みました。仮令山賊の棲家であろうとも、奪られる物のない心易さ、其処まで行けば、一飯一食の恵位にはあり付けそうに考えたのでした。
灯はもう、十間ばかり先になりました。思わず駈け出した足が、サッとさらわれました。
「あッ」
こんな山の中に、縄を張って、罠を仕掛けてあったのです。
「捕えたぞ」
バラバラッと飛んで来たのは、荒くれた山男――と思いきや、都振りの武士が三四人、どこやら撲って起きも上らずに這い廻る井上半十郎を、キリキリと縛り上げてしまいます。
「何をするッ、拙者は江州の井上半十郎、手籠にされる覚は無い」
半十郎悲憤の声を絞りましたが、追い付きません。
「黙れッ、その井上半十郎と知って縛ったのだ、煮て喰うとは言わぬッ」
ピシリ縄尻で叩いて、雁字がらめの半十郎を、灯の側まで引っ立てます。