후리가나로 읽는 일본 고전
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さばくのこと
沙漠の古都
国枝 史郎
国枝 史郎의 沙漠の古都(さばくのこと)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 110,076자 · 220화면
こうしてしばらく歩いてから、何気なく彼は顔を上げて、行手を透かして眺めると、五間ほどの先を男女の者が、親しそうに肩を並べながら、ずんずん先へ歩いて行く。
後ろ姿ではあるが、夜目ではあるが、先へ歩いて行く男女のうち、女の方はどう見直しても、紅玉の姿に相違ない。
張教仁はうしろから、思わず声高に呼びかけた。
「紅玉、紅玉、おお紅玉!」
すると女は振り返った。そして歯を見せて笑ったが、そのままずんずん歩いて行く。振り返って笑った女の顔は、やっぱり紅玉に相違ない。張教仁はそれと知ると、嬉しさに胸をドキドキさせ、女に追い付こうと走り出した。しかしどのように走っても、不思議なことには双方の距離はいつも五間余りを隔てている。しかも先方の男女の者は、どのように張教仁が走っても、それに対抗して走ろうともせず、いつも悠々と歩くのであった。
張教仁の肉体は次第次第に疲労れて来た。今は呼吸さえ困難である。それだのに尚も張教仁は全力を挙げて走っている。そうして連呼をつづけている。
「紅玉、紅玉、紅玉!」と……
しかし、女はもう二度とは、振り返ろうとはしなかった。支那服を纒った肥大漢の、しかも老人に寄り添ったまま、その老人に手を引かれ、悠々と歩いて行くのであった。