후리가나로 읽는 일본 고전
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うたかたのき
泡沫の記
久生 十蘭
久生 十蘭의 泡沫の記(うたかたのき)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 12,889자 · 26화면
ヨブというのは、旧約聖書の「約百記」に出てくる、古代癩を身にうけた天刑病者のことだが、古代癩などというものは、現代には現存しない。ひょっとすると、伝説中の業病なのかもしれず、果してそんなものがあったのかどうか、それさえ不明である。剖見によれば、王の脂肪の沈著は顕著で、筋肉と骨骸への発達が良好であり、内臓にもなんの病変がないことになっている。四肢末端の死斑(紫痕)と、歯牙の欠損というのが少々あやしいが、それだってたいしたことはない。胃壁にあらわれた慢性加答児と暗色の血液は、いうまでもなくローダノムの作用なのであろうが、どこにも「ヨブのような」などと言われそうな記述は見あたらない。高名な博士たちが、力を合せて、それほどでもない王を無理矢理精神錯乱につくりあげてしまったらしい形跡があるが、上からの要請があれば、どんなことでもやってのけそうな連中のことだから、それもまた驚くようなことはない。
それがどんな病変だったのか、もとより知るよしはないが、自分から婚約を破棄して、星と夜を友とし、毎日、千滴ずつのローダノムを飲みながら、深夜、哲学の勉強をしたり、物語のような世襲財産と、王室の金庫を空にして、つぎつぎに偏倚な城をつくったりすることで、わずかに鬱をやるような、苦痛な病業を持っていただけは、たしかなようである。