후리가나로 읽는 일본 고전
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つがるのむしのす
津軽の虫の巣
宮本 百合子
宮本 百合子의 津軽の虫の巣(つがるのむしのす)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 5,198자 · 10화면
津軽の虫の巣は、その融けんばかりの瑠璃色のうちに、必らず小さい白い泡沫(ほうまつ)を二つ三つずつ包み込んでるのである。それがまたいかにも見る人には可憐なのである。丁度何か名も知れぬ小虫が、涯(はて)知らぬ蝦夷の海の底深く、珊瑚の根元にでも構えた巣の様に思われる。翳(かざ)してその色の麗わしさを愛ずる者は、自ずと広大な海原を思わずにはいられない。
海原を思えば、海松のうちなびく魚族の王城を思わずにはいられない。日夜潮鳴る海を抱いて、遠く都を隔てた人々の胸に、この珠の名はいみじくもまた懐かしく響いたのである。
しかし、鞘(さや)の下地に使う「さび皮」まで、馬の皮ならば紙で下着せを仰せつけるほどの厳しさは、決して物を風流では許さない。
若し名目の通り虫の巣ならば、今まで通り献上などとは以ての外である。のみならず城中の使用も差し控えねばならぬことになる。お家大事と寧日も無い老臣達は、上への聞えを憚って、遂に今は一刻の猶予もならず、何とも知れぬ津軽の虫の巣を諸人環視のうちに吟味することに決したのである。
三
その日城内の大広間には、中央に矩広を始めとして、式服に威儀を正して家臣の誰彼が、何とも知れぬ心の張りを覚えながら、粛然として居流れていた。