후리가나로 읽는 일본 고전
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しせい
消えた受賞作 直木賞編
富田 常雄
富田 常雄의 消えた受賞作 直木賞編(しせい)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 17,806자 · 36화면
彼は自分がミチの為に湯を汲んでやり、その脇で桶を片付けたり、掃除の真似事をして居たことを意識して居なかった。彼の瞳はミチの肉体に焼きつき、その刺青に魅了されて、上わずった興奮に流し場の上を歩く足が下に付いて居ない気がした。短い会話だけが切れぎれに記憶に残ったのみであった。
「大下組は解散なんですってね」
「そうよ」
「姐さんは大下組の若い人と一緒ですってね」
「小頭の勇よ」
「ああ、勇阿兄い、よく、そんな風に呼んでるのを聞いたことがありますよ」
「ふふん、今は陸に上がった河童さ」
「私はね、姐さんを子供の時分から知ってますよ、朝日湯の三助をしてましたからね」
「あら、そうなの」
藤三は情慾の困惑に襲われながらも、行動としては何の意慾も起らなかった。彼は刺青の姿態を肉体の上に見るだけで満足した。その慾望を遂げようとする積極的なものがある様で居ながら、ミチの肉体を征服するという衝動とは全く別のものであった。その歪んだ慾望が何であるかを藤三は意識しなかった。
「明後日は朝の五時からですが、四時には開けて置きますよ。裏から来て下さい。四時半になると、又、別な馴染が入りますからね」