후리가나로 읽는 일본 고전
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せいひんのしょ
清貧の書
林 芙美子
林 芙美子의 清貧の書(せいひんのしょ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 18,061자 · 36화면
ペンキ屋と看板出しておいたらいいだろう。――だが、こんな肩のはらない家と云うものは、そう探したってあるもンじゃないよ。庭は広いし隣りは遠いしねえ……」
「隣りと云えば、今晩は蕎麦を持って行かなければいけないのだけれど、どうでしょうか」
「幾つずつ配るもンだ?」
「そうね、三つずつもやればいいンでしょう」
引越した初めというものは、妙に淋しく何かを思い出すのだ。私は何度となくこのような記憶がある。別れた男達と引越しをしては蕎麦を配った遠い日の事、――もう窓の外は暗くなりかけている。私は錯覚を払いのけるように、ふっと天井を見上げた。
「オヤ、電気もまだ引いてないンですよ」
「本当だ、引込線も無いじゃないか、二三日は不自由だね」
長い間の習癖と云うものは恐ろしいものだ。私は立ち上ると、人差指で柱の真中辺を二三度強く突いて見た。すると、私自身でも思いがけなかったほど、その柱はひどくグラグラしていて天井から砂埃が二人の襟足に雲脂のように降りかかって来た。
「ねえ、これはあンた、潰しにしたってせいぜい弐参拾円で買える家ですよ。どう考えたって、拾七円の家賃だなんて、ひどすぎるわ、馬鹿だと思うわ」