후리가나로 읽는 일본 고전
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ぼくとうきだん
濹東綺譚
永井 荷風
永井 荷風의 濹東綺譚(ぼくとうきだん)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 57,666자 · 114화면
行く処がないので来る人だとも思う筈がない。この事は言訳をせずとも自然にうまく行ったが、金の出処について疑いをかけられはせぬかと、場所柄だけに、わたくしはそれとなく質問した。すると女は其晩払うものさえ払ってくれれば、他の事はてんで考えてもいないと云う様子で、
「こんな処でも、遣う人は随分遣うわよ。まる一ト月居続けしたお客があったわ。」
「へえ。」とわたくしは驚き、「警察へ届けなくってもいいのか。吉原なんかだとじき届けると云う話じゃないか。」
「この土地でも、家によっちゃアするかも知れないわ。」
「居続したお客は何だった。泥棒か。」
「呉服屋さんだったわ。とうとう店の檀那が来て連れて行ったわ。」
「勘定の持逃げだね。」
「そうでしょう。」
「おれは大丈夫だよ。其方は。」と言ったが、女はどちらでも構わないという顔をして聞返しもしなかった。
然しわたくしの職業については、女の方ではとうから勝手に取りきめているらしい事がわかって来た。
二階の襖に半紙四ツ切程の大きさに複刻した浮世絵の美人画が張交にしてある。その中には歌麻呂の鮑取り、豊信の入浴美女など、曾てわたくしが雑誌此花の挿絵で見覚えているものもあった。