후리가나로 읽는 일본 고전
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えぼしだけのちょうじょう
烏帽子岳の頂上
窪田 空穂
窪田 空穂의 烏帽子岳の頂上(えぼしだけのちょうじょう)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 7,432자 · 15화면
と、私は昨日の登りを思い出した。
「そりゃ話になりません。全く命懸けですからね。」
そう云って人夫は何か話し出しそうにしたが、眼が鍋の蓋に動くと、慌てて、燃えあがる炎のなかに手を入れた。その手は鍋の蓋を取り上げた。鍋のなかには米が煮え立っていたが、そこには細かい炭がかなりまじって一しょに躍っていた。
私は朝の習慣になっている煙草へ火を移した。そして、
「これから出懸けるまで何をしよう……」と思った。煙草をすいながら次ぎにすることを考える、これは私が、昨日からの経験で覚えさせられた、この旅での楽しみの一つである。
私のような足弱は、案内に歩き出されたが最後、余裕と云うものは全く奪われてしまう。遅れまい、一行の厄介者になるまいと思うと、歩行三昧になって、一歩一歩に、心身の全体を集めて、弛みなく、しかしゆっくりと歩くより外はない。その時には殆ど外界との交渉をもつことはできない。眼をやったら離すに惜しいようなもの、余裕があったらそこに坐り込んでしまうような場所が、限りないまでに続き拡がっていると思いながらも。
それに案内は、朝と夕方と昼飯後とは、ゆっくりと休むものだということを知った。