일본어 읽기 연습

후리가나로 읽는 일본 고전

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ちちのかたみ

父の形見

豊島 与志雄

豊島 与志雄의 父の形見(ちちのかたみ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.

N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 6,879자 · 14화면

아오조라 문고

幸か不幸か、不思議にも肺の方は比較的健全だったので、それでもち堪えてるとも云える状態だった。秋山は以前、医学専門学校に一ヶ年半ばかり通っていたことがあって、医学上の多少の知識があった故か、自分で自分の容態をはっきり意識していた。その上声が殆んど出なかったので、時々激しい癇癪を起した。服薬を拒んだり、コップを投げつけたり、布団をけとばしたり、ふいに起上ろうとしたりした。夜中寝台からはい下りることさえあった。それ以外の時は、ひどく静かで、何を云ってもただ諾くだけで、心をどこか遠くにやって瞑想してるかのようだった。

死ぬる十日ばかり前から、癇癪がぴたりと止んで、周囲の人たちの云う通りになった。熱も一度あまり下っていた。腹痛が来ても、顔をしかめるだけで我慢し、すすんで手足をさすらせることもなかった。ぼんやり微笑してるらしい表情さえあった。その静かさのなかには、底に何か不気味なものがある筈だったろうが、周囲の人々はそれに気付かないで、幾分快方に向いてきたと喜んでいた。夜中に、彼がぱっちり眼を見開いて宙を凝視してるのを、看護婦は二度ばかり見かけたが、別に気にもとめなかった。