후리가나로 읽는 일본 고전
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いぬさんたい
犬三態
宮本 百合子
宮本 百合子의 犬三態(いぬさんたい)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 4,236자 · 9화면
その界隈にこの頃たつ家は、いずれもぐるりをコンクリートの塀で犇とかこって、面白いこともなさそうに往来に向って門扉も鎖してしずまっている。だが、昔ながらの木と土と紙でこしらえた家のまわりだけをそんないかめしいコンクリートでかこってみるのはどういうのだろう、そこには奇妙な感じもある。
夏のある朝早く、やはりそういうコンクリート塀の横を歩いていた。その塀は長くてなかなかつきない、一丈もあるその塀よりもっと高く繁っている樹木の枝が上から房々と垂れて、その片側もやはり塀であった。細い一本の道がそこを通って坂の下へと向っている。その時刻、人どおりはちっともなかった。青葉の陰翳が肩に落ちて来るようなしっとりしたその道を何心なく行くと、ひょっと白い大きいものの姿が見えておどろいた。極めて貴族的な純白のコリーが、独特にすらりと長い顔、その胴つき、しなやかな前脚の線をいっぱいにふみかけ、大きい塵芥箱のふたをひっくりかえして、その中を漁っているのであった。人気ない樹かげと長い塀との間の朝の地べたから巨大な白い髄が抽け出たような異様さで、その脚元にくさったトマトの濃い赤さ、胡瓜の皮の青さ、噎えたものの匂いをちらばしている。