후리가나로 읽는 일본 고전
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きつね
狐
山本 周五郎
山本 周五郎의 狐(きつね)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 8,471자 · 17화면
……これらの話を聞いて、乙次郎は昼すぎ屋敷へ帰った。
「ちょっと寝る支度をして呉れ」
「おかげんでもお悪うございますか」
「なに、夜詰めの用意だ」
夜具をとらせて横になった、美弥はちょっと不安になったようすで、
「ほんとうにあやかしが出るのでございますか」
「そうらしいな」
「いやでございますわ、まじめなお顔をあそばして、嘘でございましょう」
心配そうに覗く妻の美しい眸をみて、乙次郎はなにも云わずに微笑した。……弥左衛門が下城して来るのと、いれちがいに乙次郎は出ていった。しかし月見櫓の詰所へあらわれたのは八時ごろである。夕方から雨はあがっていたが、空は低く雲が垂れさがっており、梅雨期にはめずらしいひどく蒸し暑い晩だった。かれは十一時ごろまで詰所にいて、それから天守のほうへでかけていった。
「斧塚なんぞなら日頃の高慢の鼻を折っただけで済むが、国老の息子ではただしくじったでは相済まぬだろうに」「婿にはなりたくないものだ」話しながらも、みんなの耳は天守のほうへあつまっていた。いまにも乙次郎がとびだして来はしないか、なにか異変のもの音でも聞えはしないかと。
けれどなにごともなく時刻が経った、そして夜のしらじら明けに乙次郎が詰所へ戻って来た。