후리가나로 읽는 일본 고전
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きつね
狐
永井 荷風
永井 荷風의 狐(きつね)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 9,770자 · 20화면
一家中、何時とはなく、狐は何処へか逃げてしまった。狐ではなく、あれも矢張り野良犬であったのかも知れぬと、自然に安堵の色を見せるようになった。もう冬である。
「寒くなってから火鉢の掃除する奴があるか。気のきかん者ばかり居る。」と或朝、父の小言が、一家中に響き渡った。
がたんがたんと、戸、障子、欄間の張紙が動く。縁先の植込みに、淋しい風の音が、水でも打ちあけるように、突然聞えて突然に断える。学校へ行く時、母上が襟巻をなさいとて、箪笥の曳出しを引開けた。冷えた広い座敷の空気に、樟脳の匂が身に浸渡るように匂った。けれども午過には日の光が暖く、私は乳母や母上と共に縁側の日向に出て見た時、狐捜しの大騒ぎのあった時分とは、庭の様子が別世界のように変って居るのをば、不思議な程に心付いた。梅の樹、碧梧の梢が枝ばかりになり、芙蓉や萩や頭や、秋草の茂りはすっかり枯れ萎れてしまったので、庭中はパッと明く日が一ぱいに当って居て、嘗て、小蛇蟲けらを焼殺した埋井戸のあたりまで、又恐しい崖下の真黒な杉の木立の頂きまでが、枯れた梢の間から見通される。崖の下り口に立つ松の間の、楓は、その紅葉が今では汚い枯葉になって、紛々として飛び散る。