후리가나로 읽는 일본 고전
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たまものまえ
玉藻の前
岡本 綺堂
岡本 綺堂의 玉藻の前(たまものまえ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 130,703자 · 261화면
お宮仕えは一生の奉公と聞いておる。それほどで無うても、三年や五年でお暇は下されまいに、お前はいつここへ戻って来るつもりじゃ」
「それはわたしにも判らぬ。三年か五年か、八年か十年か、一生か」と、藻は平気で答えた。
それでは約束が違うと言いたいのを、千枝松はじっと噛み殺して、しばらく黙っていた。勿論、二人のあいだに表向きの約束はない。行く末はどうするということを、藻の口からあらわに言い出したこともない。父の行綱も娘をお前にやろうと言ったことはない。しょせんは言わず語らずのうちに千枝松が自分ぎめをしていたに過ぎないのである。この場合、彼は藻にむかって正面からその違約を責める権利はなかった。しかし彼は悲しかった。口惜しかった。腹立たしかった。どう考えても藻を宮仕えに出してやりたくなかった。
「その身の出世というても、出世するばかりが人間の果報でもあるまいぞ。奉公などやめにしやれ」と彼は率直に言った。
藻はなんにも言わなかった。
「いやか。どうでも関白殿の屋形へまいるのか」と、千枝松は畳みかけて言った。「わしの叔母御のところへ来て烏帽子を折り習いたいというたは嘘か。