후리가나로 읽는 일본 고전
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たまつきばのいちぐう
球突場の一隅
豊島 与志雄
豊島 与志雄의 球突場の一隅(たまつきばのいちぐう)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 14,111자 · 29화면
」
「ひどいことを仰言るわね。そりゃ種々な事情があったものですから。」
おたかは其処で身の上話を初めた。それは普通の小料理屋の女中が喋べるのと似寄った経歴だった。どこまでが本当でどこまでが嘘か分らない底のものだった。ただこういう話を松井は面白くきいた。何でも彼女が浅草の叔母の所に暫く厄介になっていた時の話である。叔母につれられてある晩散歩に出かけた帰りに丁度公園の中を通ると、ベンチに眠り倒れている小僧があった、でおたかはそっと持っていた銀貨をその側に置いてきた。家に帰ると叔母からお金を落したんだといって大変叱られたが、そのことは黙って隠してしまったそうである。
「それが私の一生のたった一つの慈善でしょう。」と云っておたかは笑った。
松井は、その話が余りおたかにそぐわないのでじっとその顔を見てやった。彼女の顔は煖炉の火を受けて赤く輝いていた。その時彼はふと気が附いたのであった。おたかの顔は一体そういい顔ではなかったが何処かに非常に魅力のある処があった。何処だか松井にはその時まで分らなかった。それは口元から頬にかけたかすかな筋肉の運動だった。そこに人の心を唆るような、特に肉感を唆るような魅力があった。