후리가나로 읽는 일본 고전
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ことひら
琴平
宮本 百合子
宮本 百合子의 琴平(ことひら)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 3,637자 · 8화면
遙かむこうに、もっくりと、この地方独特に孤立した山が一つ見えていてその前景は柿が色づき、女郎花が咲く細かい街裏の情景である。
私たちの用事は、この町の公会堂にあった。ひるになったとき、先発している人の弁当をもって、私が公会堂へゆくことになった。
「どう行ったらいいのかしらん」
「この石段をお下りになって――」
「いや、それより上の方よりが近路じゃ」
奥から出て来た主人らしい人が、大鳥居のきわから左へ入って、うねうね山道を歩いてゆけば、ひとりでに公会堂の上へ出るからと教えてくれた。
暖かい十月の六日で、セルで汗ばむ天気であった。弁当の包を片手に下げ、家のわきから左に入ると、男の子供が何人もかたまって遊んでいる小さい農家の前庭へ入った。その前庭から斜めに苔のついた石段が見えている。
「この道をゆくと公会堂へでますか?」
よその言葉で見馴れぬ女にそうきかれて、子供たちは黙って合点をしたまま、道をあけてくれた。
いかにも農家の裏山へ通じると云うおもむきの、苔のついた石段をのぼると低い切りどおし道になった。温暖な地方は共通なものと見えてその小道にしげっている羊歯の生え工合などが伊豆の山道を思いおこさせた。