후리가나로 읽는 일본 고전
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まちのてんぼう
町の展望
宮本 百合子
宮本 百合子의 町の展望(まちのてんぼう)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 2,428자 · 6화면
物干しの上は風当りが強いが太鼓はそのまま、傍の小窓の敷居を跨いで先ず太鼓叩きが中へ入った。つづいて、クラリネットを片手に下げ、縞の羽織の裾をまくって
「うう寒い」
ひょいと窓へ吸い込まれて仕舞った。――然し音楽は消えたのではない。赤い爪革、メリンス羽織、休み日の娘が歌う色彩の音楽は一際高く青空の下に放散されて居る。――
町の人々はもう馴れっこに成ってしまったのだろう。よそから来た者の心に、これ等の常ならぬ町の光景は何か可憐な思いを伴って感じられた。夕方同じ町を歩いて見ると、昼間の色と動きは何処にもない。町は暗い。娘共はもうみんな何処へか帰って仕舞った。海辺で桃色の貝どもが、いつの間にか穴にかくれて仕舞ったような淋しさだ。
宿屋は古風で、座敷の真中に炬燵が切ってある。私共はその炬燵の上で夕飯を終ったばかり。日のある間急しく雪解の水のむせび流れて居た樋も今は静かで、小さい町の暗さが襖の際まで迫って来るようだ。其日の新聞を読んで居ると、隣りの室で急に電話のベルが鳴った。
「あ、もしもし、下諏訪の二十九番」
女の声だ。
「一力さんですか、すみませんがお鶴姉さん手があいてましたら電話口へおよび下さいな」