일본어 읽기 연습

후리가나로 읽는 일본 고전

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くじょしょうろく

痀女抄録

矢田 津世子

矢田 津世子의 痀女抄録(くじょしょうろく)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.

N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 32,578자 · 65화면

아오조라 문고

併し、師匠は、寿女を採った。人の眼には粗にして取るに足らぬともみえるその技を採った。銀三は二人に十日余りも遅れていて、なお仕上らなかった。

「人の眼を気にして針をもつと邪に逸れる」

と、師匠は弟子たちを前にして言った。

「怕ろしいことだ。堕して立ち直っても、こんどは針が言うことをきかなくなってしまう。ひとりでに邪に逸れて行く」

とも言った。

このことがあってから銀三の寿女へむける態度には、一種、畏敬に近いものが加わった。それを外して、寿女は相変らずおどけを言っては銀三を笑わせる。

「銀三さんがお内儀さんをもらったら、ずいぶん大切にするでしょうねえ。帯から着物、半襟、下着までもみんなごてごて刺繍してやってさ」

連之助までが横をむいて、くすっと笑う。

「それに銀三さんのことだから、御飯ごしらえから子供の守りまで、ひとりで立ちまわってさ、割烹着なんかきて市場へ買い出しに行ったりしてさ。お内儀さんは上げ膳据え膳のおかいこぐるみで、年児ばかり生んで……」

「背中に一人、懐ろに一人、右と左に一人ずつか」

と銀三も酬いて笑った。

「ほんとうに、そんなお内儀さんになれたら女冥利につきるけれど……ねえ、銀三さん、あちこち選り好みばかりしていないでさ、手近いところであたしなんかどうでしょう。