후리가나로 읽는 일본 고전
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しほんたいへいき
私本太平記(七)
吉川 英治
吉川 英治의 私本太平記(七)(しほんたいへいき)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 330,262자 · 662화면
「ええ……」
「武家は常住、剣の中の起き臥しだ。世の定まらぬうちは安心ということはない。いつもどこかに敵を持つ。その覚悟なくては武家の女房とはなれぬ。いっそまた、そなたは後宮が恋しかろ」
「めっそうもない。むごい仰せばしでございまする」
「女人は三界に家なしとか。むごいのは、そういう約束の世をこの地上に作った人々だ。あわれとは思うが、ぜひもない。……お、たれか来る。離せ」
足音は、家臣の群れだった。金属的なひびきがすでに彼らの鎧いでたちを思わせる。――でも、憚ってか、廊の遠くで。
「殿、殿。……はや夜も白みそめて見えまする。疾うお身浄めのうえ、おしたくを」
「おうっ、いま参る。一同、外殿に揃うて待て」
義貞の声も大きかった。
しかし、遠ざかる武者ひびきへ耳をすましていた彼は、やにわに瘧病のような発作で、彼女の白い濡れた顔を胸の下に抱きふせにかかった。とっさに、彼女のうけた彼の唇は乾いていて火みたいに熱く、羞恥もゆるしておかない気短なあらあらしい動作は、たちまち彼女に夢魂のさけびをあげさせずに措かなかった。――それは後宮の火宅を出て、また剣の門へ嫁した三界に家なきものの悲哭とも歓喜ともつかない異様なまでの罪深いあえぎであった。