후리가나로 읽는 일본 고전
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しほんたいへいき
私本太平記(三)
吉川 英治
吉川 英治의 私本太平記(三)(しほんたいへいき)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 222,108자 · 446화면
「相違ないな」
という以外、不審を突くところもない。
ところが、夜に入ると、附近にはさまざまな風説が乱れとんだ。公綱はよろいを解けなかった。明ければまた、何の事もない。
怪聞は、味方の物見が持ち込んでくるのである。はなはだしきは、住吉の沖に、深夜、何百艘もの船団が見えたなどという。あるいは、生駒山中に、天狗のような武者声がしたともいう。いずれにしろ公綱にも、楠木勢はまだ遠くに退いていない臭いがする。
かくて、寝もやれぬ緊張の幾夜がつづいた或る晩だった。
「や、や?」
宇都宮勢は、一せいに暗天へ気を奪われた。
生駒山の遠くから、高安、平野、秋篠ノ丘、浜へかけては堺の方まで、無数の赤い蛍火といっていい遠篝が見えたのだった。耳をすませば、噂どおりな天狗の諸声に似たものが虚空を駆けるかとも思われてくる。
こんな夜が、三晩もつづいた。そして昼は、ぱったり異状も見ず、六月の摂津平には、牛と農夫と、高い夏雲を見るだけだった。
「敵はすっかり屏息した」
ようやく、公綱も疲れてきたらしい。ひとり角力の馬鹿らしさにも気がついたのだ。
「出て来ぬ敵はぜひもない。宇都宮の一ト面目は立ったも同然だ。