후리가나로 읽는 일본 고전
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しほんたいへいき
私本太平記(四)
吉川 英治
吉川 英治의 私本太平記(四)(しほんたいへいき)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 229,324자 · 458화면
「いや万一の日の心得に、お伺いしてみたまでです」
「わしは知らんな、そんな賭け事は」
「さよう、知らぬことにしておいていただければ倖せだ。輩には夢もありますので」
「夢か。夢をみるなともまさかいえまい」
「いっても肯くことではございませぬよ。ご老体とはやはり一ト時代ちがった人間どもが今の名和ノ庄の中堅でございますから」
「ま。一献まいろう」
永観は酒を出させた。
多くは飲まなかったが、昼酒にぼうっとして、長年はやがて門を辞した。それがもうたそがれ近い。
館へもどるやいな、彼はすぐ身を鎧い、ふたたび名和の丘から馬で駈け出していた。三男基長だけを残して、息子の長義、義氏もつづき、甥の鬼五郎助高、鳥屋彦七らは途中から加わった。
浜まで、一里にも足らない道。
「鬼五郎、松葉をいぶせ」
長年が、甥に命じる。
そして波打ちぎわを前に、一族四、五十騎はヒソとかたまりあいながら、沖のこたえに固唾をのんだ。
落日と共にあらゆる虚空音も雲の果てに吸い込まれたような一ときだった。そこの人馬や波の模様も靄々としておぼろである。ただ合図の煙だけが白くまっすぐに立ちのぼる。
このとき帝を待った名和党は一説には、五、六百騎ともあるが、近郷の小波、赤崎、中山谷などには幕府方の地頭、守護代がそれぞれ土着していたのである。