후리가나로 읽는 일본 고전
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しほんたいへいき
私本太平記(四)
吉川 英治
吉川 英治의 私本太平記(四)(しほんたいへいき)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 229,324자 · 458화면
波音だけがしばらくする。
「…………」
帝は皇太子の頃から、女という女の型はあまた知りつくしておいでなのだ。めったに盲目的になるなどの例はない。
だが、別府の配所では、久しく女香にも隔絶されておられたので、小宰相のなみだの蒸れや、妊娠初期の女体の烈しい血の蕩揺は、帝の渇きを医すにありあまる熱さであったろう。
夜半になると、ここを繞る波音は、なおさら高い。
生理的にも三月か四月かという感受性のつよい期間にあった小宰相は、みかどたることも忘れて、帝を一個の男としてのみ、離しがたい思いにただれたに相違ない。そしてともに暁の疲れに黙しあって、閨も白々としてくるうちに何のご屈託もないかのような寝息に入った帝のお寝顔を見ながら、彼女は、ゆうべ涸れるまで泣きつくした涙を、またしてもサメザメと新たにしていた。
ついに、彼女はゆうべ、
「私は悪い女でした」
と譫言せずにいられなかった。その懺悔なしには、帝の腕のなかのよろこびも二分されて、完全な歓喜が完全な苦悶に落ちいっていたからだった。ところが、帝は、
「それは六波羅の獄舎にいたころから察していた。いまさらゆるすもゆるさぬもない」