후리가나로 읽는 일본 고전
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ちごほうし
稚子法師
国枝 史郎
国枝 史郎의 稚子法師(ちごほうし)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 7,609자 · 16화면
或日主水は斯う云い置いて藪原の宿まで用達しに行った。用を果たし路を急いで、家近く帰って来た時には、もう丑の刻を過ごしていた。星月夜の下に静もっている自分の住居を眺めた時には何んとなく心が穏かになった。
突然妻の悲鳴が聞えた。と木戸口が蹴破られ、軒の高さよりも尚身丈の高い、腹突出した大山伏が、三才の松太郎を小脇に抱え、馬のように走り出た。其後から続いて走り出たのは懐剣を振り翳したお信乃である。
「あっ!」
と主水は思わず叫んだ一刹那、其場に立ち竦んだが、次の瞬間には身を躍らせて其山伏に飛び掛かって行った。
併し夫れは無駄であった。山伏は颯と身を浮かせ、空へ蝙蝠のように飛んだかと思うと、深い谷間へ飛び込んだのである。
其夜から始めて十日余も勿論主水自らも探がし人を頼んで探がさせもしたが、松太郎の行衛は知れなかった。
それを苦にして女房のお信乃は其夜からどッと床に就いたが、一月も経たずに嘆き死んだ。
重ね重ねの不幸である。どのように勇猛の人間でも気を落とさずには居られない。
さすがの主水も此日頃殆ど物を云わなくなった。彼は日夜考えてばかりいた。近所の農夫や福島の朋輩や死んだお信乃の親里などでは、彼の境遇に同情して、いろいろ慰めの言葉を掛けたり新らしく妻を世話しようなどとも云った。