후리가나로 읽는 일본 고전
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ぜっけいばんこくはくらんかい
絶景万国博覧会
小栗 虫太郎
小栗 虫太郎의 絶景万国博覧会(ぜっけいばんこくはくらんかい)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 15,752자 · 31화면
然し、一日二日と過ぎて行くうちには、その夜の記憶も次第に薄らぎ行って、やがて月が変ると、その一日から大博覧会が上野に催された。その頃は当今と違い、視界を妨げる建物が何一つないのだから、低い入谷田圃からでも、壮大を極めた大博覧会の結構が見渡せるのだった。仄のり色付いた桜の梢を雲のようにして、その上に寛永寺の銅葺屋根が積木のようになって重なり合い、またその背後には、回教風を真似た鋭い塔の尖や、西印度式の五輪塔でも思わすような、建物の上層がもくもくと聳え立っていた。そして、その遥か中空を、仁王立ちになって立ちはだかっているのが、当時日本では最初の大観覧車だったのだ。
所が、その日の夕方になって、杉江が二階の雨戸を繰ろうとし、不図斜いの離れを見ると、そこにはてんで思いも付かぬ異様な情景が現れていた。全く、その瞬間、杉江は眼前の妖しい色の波に、酔いしれてしまった。けれども、それは、決して彼女の幻ではなく、勿論遠景の異国風景が及ぼしたところの、無稽な錯覚でもなかったのである。その時、彼女の眼に飛び付いて来た色彩と云うのは、殆んど収集する隙がないほどに強烈を極めたもので、恰度めんこ絵か絵草紙の悪どい石版絵具が、あっと云う間に、眼前を掠め去ったと云うだけの感覚に過ぎなかった。