후리가나로 읽는 일본 고전
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ろうこうふとでんとう
老工夫と電灯
小川 未明
小川 未明의 老工夫と電灯(ろうこうふとでんとう)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 3,017자 · 6화면
とかげは、そこに、人間が立っているとは思わなかったらしく、しばらく目を光らしながら、相手のけはいをうかがっていました。この際、獲物をくわえたまま走ったほうがいいか、それとも人間が、まだ気づいていなかったら、じっとして機会を待ったほうが、いっそう賢明ではないかと考えているごとくに見られたのであります。
老工夫は、この狡猾な、暴虐者の心理を悟ると、このままにしておけない気がしたのでした。
「呪わば穴二つだ!」と、彼は、いいながら、石塊を投げつけて、一撃のもとに、かえるもとかげももろともに粉砕して、目の前の忌まわしい光景を払拭しようと気が焦ったのです。彼が、石を探しているときでした。トンネルの入り口で汽笛がしました。あわてて、彼は、ぴたりとトンネルの煉瓦の壁に身をつけると、すさまじいひびきをたてて汽車は通過しました。そして、後には、濛々として、黒煙が息づまるほど、立ちこめて、電燈の蔭でうずを巻いていたのです。
黒煙がやっと消えて、ふたたびあたりが見えたときには、もはや、そこにとかげはいなかったのでした。
――一九二六・五作――