후리가나로 읽는 일본 고전
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じゆうじん
自由人
豊島 与志雄
豊島 与志雄의 自由人(じゆうじん)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 69,030자 · 139화면
三日前の晩、茶の間の隣りの六畳の室で、松本は晩酌をやっていた。――秩序を重んずる彼は、八畳の茶の間で家族一同と食事を共にし、その後で六畳に引込み、晩酌をする習慣なので、つまり、食事と晩酌とが普通の人とは逆な順になる。その六畳に、ピアノもラジオも蓄音器もあるが、それは晩酌がすむまで使ってはならないのである。
娘たち、千重子と八重子は、茶の間に居残り、映画や野球の話をしていた。松本のそばには、富子夫人がついていて、途切れがちな低い言葉があった。暫くひっそりとした後、突然、ガチャリ、ピシリ、と大きな響きが起った。
千重子は隔ての襖を開いて覗いた。父も母も、いつもの通り坐っていたが、父は赤い顔をし、母は蒼い顔をしていた。すぐに、父は立ち上って、奥の書斎の方へ行った。母は身動きもせず、縁側の硝子戸を見つめていた。硝子が一枚、隅っこに破片を残したまま、飛び散っていて、後で分ったのだが、その外の庭石に、九谷焼の銚子が砕けていた。
父の激怒の乱暴な発作は、嘗てないことで、全く予想外のことだった。原因が不明なだけに、なおさら不可思議だった。母は何とも言わなかった。