후리가나로 읽는 일본 고전
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あざみ
薊
山本 周五郎
山本 周五郎의 薊(あざみ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 15,800자 · 32화면
銕太郎はその裏道から登った。登りきったところは松林で、台地の端を左へ廻ってゆくと、松とくぬぎの疎林があり、「古月亭」の屋根が見えた。彼は路地をはいってゆき、にじり口ではなく、玄関のほうへまわった。玄関には女の履物が二足あり、茶室の中はしんとして、人の声もなかった。履物の一つが妻の物であることを慥かめてから、銕太郎は奥へ呼びかけた。
「ゆきを、いるか」
茶室の中はしんとしたままで、戸外の松林のほうに小鳥の声が聞えた。
「ゆきを、おれだ」と彼はまた呼んだ、「急用があって来た、いるか」
すると奥で「はい」というかすかな返辞が聞え、人の動くけはいがした。銕太郎は刀を脱して右手に持ち、あがっていって襖をあけた。「古月亭」は数寄屋造りで、よりつきが六帖、控えが四帖半、そこに猿戸があって三帖の茶席に続いていた。――六帖には小さな包があるだけで、銕太郎はさらに四帖半の襖をあけた。(そのとき茶席へ通ずる猿戸が閉るのを彼は見た)ゆきをはそこに小掻巻を掛け、箱枕をして横になっていたが、その部屋は女の躰臭と香料との濃厚な匂いで、噎せるように感じられた。
「いまそこから」と彼は猿戸へ眼をやって訊いた、「誰か出ていったようだな」