후리가나로 읽는 일본 고전
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はなしのくずかご
話の屑籠
豊島 与志雄
豊島 与志雄의 話の屑籠(はなしのくずかご)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 5,252자 · 11화면
云ってのけると、懇意な方のが、はっと顔色を変えて、意味ありげな目配せをした。そこで、ははんと思った。まではよかったが、その抹香くさいのが、初めっから左を懐手にして、脇息にもたれてる様子が、いやに横柄に見えて仕方がない。芸者商売はしてても……とそういう伝法な気持に、酒がまわったから、たまらない。つかつかとよっていって、盃をさしつけたものだ。
「どうなすったのよ。不精ったらしく澄まし返ってさ。」
云いながら、懐手の方に、肩から腕へ、手をかけた。その手が、お召の羽織をするりと辷って、袖がふうわりと……腕がないのだ。
「ばか……失敬な。」
と懇意な方が叫んだが、もう取り返しはつかない。女はてれるし、男は二の句がつげなかった。が当の御本人だけは、苦笑をしながら、片手の右で盃を差出していたという。
後で、男は云った。――「あの人はね、僕が一寸頼みごとをした、大事な客だったんだ。或る寺の住職の、二男坊で、片手がないんだ。抹香くさいまでは、まだいいとして、手のないところに触ってみるって法があるものか。そそっかしいにも程があるよ。お蔭で冷汗をかいちゃった。」
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